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2006年10月号
通訳はすごい!
実は、これを書いている今日、ある会議から帰ってきたばかりで、かなりヘトヘトです。でも、会議の中で、とても感動したことがあったのでがんばって書こうと思います。
それは、通訳の方はすごい!ということです。
会議の同時通訳を体験したのは初めてでした。各々の参加者のために、レシーバーという機械が渡されました。レシーバー本体からコードが出ていて、その先のイヤホンを片耳につけるようになっています。会議は二つの会場で連続して行われたのですが、レシーバーの型は少し違いました。後の会場の方のものは、イヤホンが巨大で、耳をすっぽり覆ってしまうタイプのものでした。この、レシーバーという代物はとても高いものらしく、司会の方がいつも、「ベリーエクスペンシブレシーバー」を置きっぱなしにしないで返して!と訴えていました。レシーバーの本体部分はラジオのような構造です。チャンネルが6チャンネルほどあり、また、音量調節ができます。
会議では、基本的には英語が使用されていましたが、たまに他の言葉で話す発表者等もいるので、英語、日本語、スペイン語、アラビア語、フランス語の5つの言葉で同時通訳が提供されていました。英語から日本語、日本語から英語への通訳は、女性と男性のお二方が担当されていました。私は嬉しがりなので、最初のほうは、イヤホンを付けていない耳で話を追いながら、チャンネルをカチャカチャと変えて、スペイン語やアラビア語やフランス語では今どんな感じなのかと聞いてみたりしていました。
さらに、リレー通訳というのがありました。ある時、発表者がアラビア語で話し始めました。どうなるのだろうと聞いてみると、日本語への通訳のチャンネルでは、
「今、アラビア語でお話しされているので、日本語の通訳はできません」
と言っています。英語への通訳はあったので、しばらくそれを聞いていました。それでも、日本語はどうなったのかが気になり、またチャンネルを変えてみると、ちゃんと通訳されていました。なんと、アラビア語から英語へ、そして日本語へとリレーで通訳されていたのです。このリレー通訳はスペイン語でもなされていました。
これは私の聞き間違いかも知れませんが、スペイン語から英語への通訳は、英語・日本語通訳の女性の(おそらく日本人の)方の声がしていました。そしてその英語を、男性の通訳の方が日本語へと通訳されていたのです。すごいなあと思いました。
そして、一番感動したのは、通訳のなされ方です。私は、英語の勉強も兼ねるつもりで参加したので、できるだけ日本語への通訳に頼らないようにと思っていたのですが、その、絶妙な訳し方、素早さ、記憶力、忍耐力、そして情熱的な話し方、表現力に、もうメロメロになってしまうほどでした。
忍耐力と言ったのはつまり、発表者等の中には、ものすごく早口の方もいらっしゃるし、話自体がまとまっていなくて、訳すのが大変そうなこともあるし、時には興奮して、早口と、他の方の発言にかぶさって話してしまう事態が同時に発生したりすることもある、にも関わらず、素晴らしい表現の質は落とさずに、いっしょに走るようにして通訳されるのです。神さまからの報奨がありますように、としか言いようのないほどのご尽力です。
またある時、会場の後方の壁が、ドンドンドンドン!という音とともに振動したことがありました。一同、何事かと振り返り、しーんとしました。通訳ブースの中の通訳者の方が、スクリーンに映された細かすぎる文字の内容が読み取れないので、通訳が続けられない!と訴えておられたのです。また、その時はかなり緊迫した内容の話で、発言者がものすごく早口だったり、マイク無しで話し始めたりするし、しかしスクリーンでは、そこにしかない非常に大切な情報が映し出されているし、全員がその情報をしっかり受け取らないといけない状況だしで、通訳の方にとっては非常な困難の連続だったようです。
通訳者はブースの中にいるので、会場でマイク無しで話をされると聞こえないそうです。日本語のチャンネルに合わせると、「マイクを使っておられないので聞こえません」「通訳ができません」と訴えられていることが本当に何回もありました。何度も同じ人が同じことを繰り返す場面があり、通訳の方も最後には、「またマイクを使っておられません・・・こういう方が一番困ります!」と嘆いておられました。
こういう困難は、聴覚に障害のある人のための手話通訳や、ノートテイク、要訳筆記でも同じです。障害学の学会、障害学会で、手話通訳とパソコンによる要約筆記が行われていた時も、この「早口」の問題は基本的かつ致命的でした。私も少し、プロとしてではなく、必要に応じての手話通訳や、ノートテイクの体験をしたことがありますが、早口で話されると相当つらいものがあります。長ったらしいまとまりのない話を早口でされると、「もっとまとめろや!」と一喝したくなります。
訳される前の、最初の表出の段階でもっとまとめてほしいと思うのは、点訳でも同じです。パソコンでやっていても、日本一の性能を誇る点訳ソフトを使っていても、いろいろな文字種が混在(ホームページアドレスとカタカナの多い説明文の組み合わせなど)すると、どうしても化け化けになったりします。「キーッ!もっと考えて書いて!」となってしまいます。
語学の才能のある人はすごいですね。この「やすらぎ」にも、多くの翻訳された文章が掲載されてきましたが、どれほどのご尽力があったことか、想像もできないくらいですね。本当に尊敬します。私の専門は語学では無いですが、少しでもそういう方たちを見習い、これからも精進していこうと思いました。

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