|
2008年2月号
協議(シューラー)
協議(シューラー)を行うことは、初期の後継者となんら変わることなく現代の後継者たちに備わるべき重要な属性かつ不可欠なルールです。クルアーンによると、それが信仰をもつ共同体であることを示す最も明白な印であり、イスラームに心を捧げた信徒たちが有するこの上なく重要な特徴であるとのことです。協議の重要性については、クルアーンでサラート(礼拝)とインファーク(アッラーのご満悦を目的として、宗教と人々を支えるために施しをすること)に並んで位置づけられています。
「また主(の呼びかけ)に答えて礼拝の務めを守る者、互いに事を相談し合って行う者、われが授けたものから施す者」(相談章38節)
この節においては、協議が礼拝と同等に位置する行動の一種であることに気付かされます。神の言葉や神からの呼びかけに答え、受諾すること、その結果として行う礼拝や協議、施しが同一の命令の中で述べられているという事実によって、協議の重要性を指摘されているのです。
協議を重要視しない社会が十分に信仰を持った社会であるとは到底認められないこと、また協議を生かさない共同体が完全な意味でのムスリムとして受け入れがたいのはこうした理由からなのです。イスラームにおいて、協議は統治者と人民の双方が従うべき絶対不可欠な要素です。統治者は政治や統制、立法、その他社会に関係するあらゆる物事に関して協議を行う責任があります。一方人民は、彼らの見解や思想を統治者に表明し伝える責任があります。
ここで注目すべき重要な点は以下の通りです。まず協議はどのような問題であれそこでなされる決定が成功するための第一条件です。特定の個人に関わるものであれ社会一般に及ぶものであれ、他者の見解や批判を考慮にいれず、十分に熟考されずになされた決定はどれも、大失態や損害、大きな失望のうちに終わっているのを我々は見てきました。
たとえ優れた天性や際立った知性を備えた人であっても、自分自身の意見に満足して、他者の意見を尊重し柔軟に受け入れる姿勢がなければ、平均的な人よりも間違いを犯しやすいものです。互いに相談し検討すること(マシュワラート)の正当な価値を理解し尊重し、他者の知恵を借りることのできる人が最も賢い人なのです。計画や行為における自分自身の考えに満足し、さらには他人にまで自身の見解を取り入れるよう押し付けるような人々は、重要な原動力を見逃すのみならず、仲間との間に食い違いや敵意、嫌悪を生じさせかねません。
着手しようとする作業が最高の結果を出すための第一条件が協議であるのと同様に、自分ひとりだけの力をはるかに上回る大きな力の源を得ることも、唯一協議を行うことによって可能となります。
何かしらの企てに着手するにあたっては、運命を呪ったり共同作業者を責めることにならないよう、また予防策のうちにとどまるよう、そして破綻や災難につながりかねない好ましからぬ行動や結果をもたらさないよう、必要な下調べや事前の検討、協議を怠るべきではありません。結果や成り行きが入念に考え抜かれたものでなければ、そして企てに取り掛かる前にその分野における経験者の意見が参照されないようでは、失望や後悔は避けられません。十分な事前協議がなされないままでは事業や活動に着手したとしても成功しませんし、それに関わる人々は信頼を失ない落胆や失望を味わう羽目となるでしょう。
協議はイスラームの秩序をシステムとして成り立たせるための根本的な原動力の一つであります。個人と共同体、人民と国家、科学と知識、そして経済と社会学についての諸問題を解決するという最も重要な使命と義務を負っているのも協議です。もちろんこれは、それらの問題に関して明白な意味づけをするナッス(明文。クルアーンの節もしくは預言者からの命令で、宗教的な法規における何らかの点において決め手となるもの)がない場合において当てはまることであります。
イスラームにおいて、一国の協議委員会は指導的な立場にある機関で、執行部による決断が下される前に開催されます。今日、最高裁判所が設置されている国家もありますが、その機能はかなり限定され、審議のための付託事項は極めて範囲が狭く、イスラームの協議に比べると大幅に制約を受けた機関となっています。
国家の長および指導者は、仮に神の承認を受け啓示によって育成されたとしても、協議によって物事を進める義務を負っているのです。中にはこれを軽視した者たちもいましたが、名称や肩書きこそ違え、時代を通じてこうした機関を採用した国家や共同体は数知れません。実際、そうした機関を無視もしくは尊重しなかった社会は決して繁栄することはなく、滅びるのが常でした。それゆえ神の使徒は、彼の共同体の救済と発展を互いによる協議の中に見出したのでした。

Copyright
© 2008 やすらぎweb.com.
All Rights Reserved. |