2008年1月号 


預言者ヌーフ(ノア)から伝わる伝統:アシューラ

 

アシューラ(ノアのプディング)のおいしさにだけ関心を持つ人、あるいはおいしいアシューラの作り方を求めている人は、この文章から何かを得ることはできないでしょう。この文章が対象としているのは、アシューラの素晴らしい味わいの向こうにある豊かさに興味を抱く人々なのです。その歴史、その料理のしきたり、そこに含まれる穀物が象徴する概念、アシューラの周囲に編みこまれた繊細な文化に関心がある人、どうぞアシューラの器のそばに来てください。


今年の1月19日は、ヒジュラ暦によるとムハッラム月の10日になります。つまり、アシューラの日です。世俗的な色々な雑用に揉まれ、ムハッラム月の10日が近づいてくるのを知らなかったとしても、豆屋の店先や香辛料を売る店、乾物を売る店などで、一番よく見える場所に張られた「アシューラ用」の看板が、その日が近づいてきたことを私たちに思い出させてくれるでしょう。


ムハッラム月の10日とそれに続く週、その日に敬意を抱く女性たちは、より白く、よりおいしいアシューラを作る為に、秘められた、そして楽しい競い合いに挑むのです。そして隣人のドアが叩かれ、それぞれにおいしく完成されたアシューラが配られます。アシューラを作る家庭が年を追って少しずつ減ってきていることも一つの真実です。しかし、その背後に異なる概念の層と古い伝統を抱いているこの習慣は、古い様式や儀式的な側面を近代に入ってかなり失ってしまったとはいえ、その生命を守り、生き続けているのです。


ムハッラム月の10日にアシューラを作って食べたり、隣人や貧しい人々に配ったりという習慣の基盤は、とても古いものです。ヌーフさまの船が、洪水が起こった後、ムハッラム月の10日に陸に辿り着いたという伝承が最も広く伝わっているものです。アシューラの中に入っているものも、その伝承に依っているのです。水が引いて無事に陸地に上がることができたことで、彼らは船の貯蔵庫に残っていた穀物や乾物を一つにまとめて甘いスープのようなものを作りました。そして感謝の儀式を行い、そこでそれを食したのです。

 

恵みと救い、そして感謝のしるしであるアシューラという習慣を必要とする理由は、これだけではありません。アーダムさまとダーウードさまの悔悟がこの日認められたこと、スレイマンさまに王位が与えられたのがこの日であること、ユーヌスさまが魚のおなかの中から救われたのがこの日であること、ムーサーさまがイスラエルの人々をファラオの暴圧から救われたのがこの日であること、ヤークブさまが息子ユースフさまと会われたのがこの日であること、イブラーヒームさまが投げ入れられた炎の中から救われたのがこの日であること、預言者ムハンマドさまの過去と未来におけるあらゆる罪が許されるであろうという保証が与えられたのがこの日であること、ジブラーイール、イスラーフィール、ミカイル、地、天、そして天国がこの日に創造されたということなどもまた、アシューラの日、ムハッラム月の10日についての伝承の数々なのです。


 


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