2004年11月号 

編集部より


 

今年の夏から秋にかけては、台風の相次ぐ日本列島上陸、そしてつい最近の新潟県を中心とする大地震と、全国各地で大規模な自然災害が発生しました。多くの人が住む家を失い、交通網やライフラインも絶たれ、通常享受している快適で便利な生活がまったく機能しなくなったのです。地滑りによってあらわとなった山肌、その麓で土砂に飲み込まれた家屋、完全に倒壊した建物など被災地の様子がテレビで繰り返し映し出されるのを見ながら、自然を荒れ狂う凶器に変える巨大なエネルギーの存在と、その前でなすすべもない人間の矮小さ・無力さを改めて思い知らされました。


大きな災難に見舞われたとき、人はその非日常性を目の当たりにして日常というものを見直さずにはいられないでしょう。例えば普段何気なく過ごしているありふれた生活もいかに恵みに溢れたものか再認識させられます。余震を恐れ車中泊せざるを得ない人々を見るまでは、足を伸ばして安心して寝られることすらありがたいことだとは気付きもしませんでした。感謝の心を置き去りにし、あれが足りない、これが気に入らないというようにとかく不平不満が口をついで出る自分自身はなんと不遜な生き方をしているのでしょう。


一連の災害では大勢の犠牲者も出ました。日常で死は意識外に追いやられがちです。しかし身近な人の死も自分自身の死も、私たちを生かしてくださっているお方の采配によって瞬時にもたらされることを忘れてはならないのです。そして死を思いながら、よりよい生を営むために今何をすべきかを考えなければならないのでしょう。


「人は死を味わうのである。われは試練のために、凶事と吉事であなたがたを試みる。そして(最後は)われに帰されるのである。」(聖クルアーン21章35節)


「言ってやるがいい。『アッラーがあなたがたに生を授け、それから死なせ、それから復活の日に、あなたがたを召集なされる。それに就いて疑いはない。だが、人びとの多くは、これを理解しない。』」(聖クルアーン45章26節)


今月の「やすらぎ」のテーマは「死」です。被災地の復興が進み住民の皆様がいち早くもとの生活に戻れますように、また犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。

 


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