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やすらぎ 2009年3月号
新しく宿ったばかりの命。母胎で成長を続ける命。そして生まれたばかりの命。身近な周囲を見渡すだけでもいくつもの生命がこの世に現れ、または現れる準備をしています。
命の誕生は間近で垣間見ることのできる神秘の最たるものです。無に近いところから生じた小さな受精卵が成長し様々な器官に発展し、このように複雑で精巧な作りを持つ人間の体になって生まれてくること。科学や医療の発展によって人がこの過程に介入できるのはほんの一部分にすぎず、大部分は私たちの手の届かないところで大きな英知による偉大な作業に任されています。
凄惨な事件や暗い話題がニュースで流れ、将来への不安が増すこの世の中、そして外に目を向ければ戦争や飢餓、救いがたい貧困にあえぐ人々も少なくないこの世界。生きることを辛く思い、生きることに価値を見出せないこともあります。それでもこの世に誕生してくる命を尊びそこに喜びを見出すのは、私たちが未来への希望を生きる糧とし、永遠を希求してやまない存在だからではないでしょうか。
希望を持った存在として新しい生を踏み出すことができるのは、表面的にはすでに成長した私たちも同様です。夜明けとともに始まる毎日は一日たりとて同じではありません。自らの存在意義を問い続け意志と行動で変わろうとする努力を続けることで、生みの苦しみを経て、内面的な新しい命の誕生を実現していくことができるのです。
肌に当たる風が和らいできた今日この頃、桜を初めとする草木が次々と開花し、生命誕生のエネルギーを鮮やかに感じさせてくれる春ももうすぐそこです。

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